特集 完全把握をめざす小児の心疾患
先天性心疾患(各論)
三尖弁閉鎖症
中島 公子
1
NAKAJIMA Kimiko
1
1群馬県立小児医療センター循環器科
pp.579-581
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001613
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疾患の概念
それぞれが流出路をもち完全に分離可能な2つの心室を作成できない心形態を機能的単心室とよぶ。三尖弁閉鎖症(tricuspid atresia:TA)は,右房と右室の交通がないために右室も低形成であり,左室が機能的単心室となる。原始心臓管が右方へルーピング(cardiac looping)した後,房室管口が心室中隔を越えて右側へ移動する過程,または三尖弁の形成過程が障害された結果,三尖弁が筋性(70%)もしくは膜性(30%)に閉鎖する1)。単心室循環の外科的治療目標は,肺循環と体循環を分離し,心機能を保ちながら低酸素血症を改善させるFontan手術である。1970年に,Francis FontanがTAに対し一期的に行った報告2)がFontan手術の誕生である。現在では外科治療を3段階的に施行してFontan手術へ到達する場合が多い。
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