特集 どうする? 小児の便秘・下痢
総論
アレルギーに関連した便秘・下痢
佐々木 美香
1
,
佐々木 朋子
1
SASAKI Mika
1
,
SASAKI Tomoko
1
1国立病院機構盛岡医療センター小児科
pp.325-330
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000792
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はじめに
食物アレルギーのアレルゲンは食物中のタンパク質である。消化管は多種多量の異種タンパクに曝露されるが,消化酵素によりアミノ酸やジぺプチドまたはトリペプチド(分子量300Da以下)まで分解され,小腸上皮から体内に吸収される。一方,アレルゲンとして免疫細胞に認識されるのは,最低でも分子量は3000~5000Da以上であるため,正常な状態ではアレルゲンは腸管から侵入できない。しかし,バリア機能の破綻した皮膚や炎症のある腸管からは食物アレルゲンは侵入でき感作され,アレルギー反応が惹起されるようになる。食物アレルギーの多くはCoombs分類のⅠ型アレルギー(IgE依存性,即時型)で,症状は2時間以内に出現し,皮膚や呼吸器,消化器など全身に現れ,通常は数時間で収束する。この場合,摂取後の症状出現時間や特異的IgE抗体の測定で診断は容易である。
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