特集 周産期感染症2026
産科からみた周産期感染症
44.胎盤からみる産科周産期感染の病理 Why we examine the placenta
谷口 千津子
1
Chizuko Yaguchi
1
1浜松医科大学産婦人科学講座
キーワード:
周産期感染症
,
胎盤
,
上行性感染
,
母児感染
,
絨毛膜羊膜炎
Keyword:
周産期感染症
,
胎盤
,
上行性感染
,
母児感染
,
絨毛膜羊膜炎
pp.193-198
発行日 2025年12月25日
Published Date 2025/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002459
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はじめに―胎盤を検索する意義
胎盤は母体組織と接しながら児の発育と妊娠維持のためにさまざまな機能をもち,自らも子宮内環境に適応し発達している。特に母体や胎児の状態により組織学的に変化をきたすことから,胎盤の肉眼所見や病理検査は妊娠中や分娩時の異常が生じた際に,その病態を知るための有力な手段となることが多い1,2)。一方,臨床現場では胎盤は「終わった分娩の胎児付属物」という認識をされることがあるため,胎盤観察は助産師によってのみ行われ,産婦人科医のなかでは胎盤の肉眼的検索や病理検査を行う意義が理解されていないことも少なくない。2016年に胎盤病理に関わる専門家によって胎盤病理の診断指針であるAmsterdam Placental Workshop Group Consensus Statement(APWGCS)が定められた3)。この指針によって胎盤の肉眼所見や組織学的所見がどのような病態に起因するのかが定められ,母体合併症による胎盤の機能的異常や新生児異常の病態推定,感染症,予期せぬ疾患の特定などに関する情報提供が可能となってきている。

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