特集 周産期感染症2026
産科からみた周産期感染症
36.ヒトパピローマウイルス感染症
横山 良仁
1
Yoshihito Yokoyama
1
1弘前大学大学院医学研究科産科婦人科学講座
キーワード:
HPV
,
CIN
,
尖圭コンジローマ
,
若年性再発性呼吸器乳頭症
,
HPVワクチン
Keyword:
HPV
,
CIN
,
尖圭コンジローマ
,
若年性再発性呼吸器乳頭症
,
HPVワクチン
pp.160-163
発行日 2025年12月25日
Published Date 2025/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002451
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はじめに
ヒトパピローマウイルス(human papillomavirus:HPV)は,DNAウイルスの一群であり,主に皮膚および粘膜の上皮細胞に感染する。これまでに200種類以上のHPV型が同定されており,そのうち約40種類がヒトの外陰部や肛門周囲,子宮頸部に感染することが知られている。これらのうち16,18,31,33,45,52,58型などはハイリスク型とされ,子宮頸癌をはじめとする悪性腫瘍の発症に関与している。一方,ローリスク型である6,11型は主に良性の病変,特に尖圭コンジローマを引き起こす。HPV感染は一般的に一過性であり,多くの場合,自然免疫によって数か月以内に排除される。しかし,持続感染した場合は病変の進展につながることがある。妊娠中は,免疫寛容の状態やホルモンバランスの変化により,HPV感染の自然史に影響を与える可能性がある。これにより,新たな感染や既感染の再活性化が生じやすくなり,母体ならびに胎児への潜在的影響が懸念される。また,分娩時の産道通過を介したHPVの垂直感染により,新生児への感染リスクも生じる。本稿では,妊娠中および小児期のHPV感染について,疫学的背景,感染経路,臨床像,診断と治療,ならびに予防の観点から総合的に概説し,産科・小児科領域における実践的な対応の一助とすることを目的とする。

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