特集 快適で安全な周産期の麻酔のために
各論:新生児
新生児の鎮静:MRI検査を中心に
松田 弘美
1
MATSUDA Hiromi
1
1北里大学医学部麻酔科
pp.1409-1412
発行日 2025年11月10日
Published Date 2025/11/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002372
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はじめに
成人では心臓超音波や画像診断,骨髄・腰椎穿刺のような覚醒下で施行する検査や処置であっても,小児,特に新生児においては,適切に鎮静をしなければ施行困難であることが多い。新生児は,コンピュータ断層撮影(computed tomography:CT)や磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging:MRI),心臓超音波検査,聴性脳幹反応などの検査に際して鎮静が必要とされる。適切な鎮静を行うことで,検査中の体動を抑え,画像や検査の質を高めるとともに,診断精度および治療方針の決定にも寄与する。特にMRIは,新生児期においても脳構造の評価や出生前診断に用いられ,放射線被曝がないという点で大きな利点を有する。一方で,検査中の体動によるアーチファクトが生じやすく,高品質な画像を得るためには無動状態の維持が求められる。さらに,検査時の大きな音や狭い空間によるストレス,30分以上に及ぶ撮影時間など,新生児にとっては心理的・身体的負荷が大きい。そのため検査時には安全性を確保しつつ,児の状態に配慮した多角的な工夫が必要となる。加えて,MRI撮影室は,NICUや小児病棟から離れた場所に設置されていることが多く,緊急時の対応やスタッフの応援体制の構築にも特有の課題がある。

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