特集 周産期の画像診断 第3版
母体・胎児編 Ⅰ.超音波診断 C.胎児異常
胸部
日高 庸博
1
HIDAKA Nobuhiro
1
1福岡市立こども病院産科
キーワード:
横隔膜ヘルニア
,
囊胞性肺疾患
,
胎児水腫
Keyword:
横隔膜ヘルニア
,
囊胞性肺疾患
,
胎児水腫
pp.106-110
発行日 2024年12月23日
Published Date 2024/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001825
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胎児胸部疾患の超音波スクリーニング法
胸腔内疾患の胎児期スクリーニングは一般に胎児胸部横断面(心四腔断面)で行う。産婦人科医にとって観察に慣れた断面であり描出自体は難しくないが,観察ポイントをおさえていないと疾患が見逃されることも意外に多い。超音波スクリーニングのポイントを表1にまとめる。胎児胸部横断面(心四腔断面)において,一定サイズの無エコー領域として同定されるのは,左房の後方にみられる下行大動脈だけである。これ以外に無エコー領域が存在する場合,胸腔内に脱出した胃や囊胞性肺疾患を見ている可能性がある。心臓が偏位している場合,その対側に心臓を圧排するような胸腔内占拠性病変の存在を疑う。圧排された結果として心臓が正常よりも小さく観察されるかもしれない。心臓軸の異常はいくつかの心疾患でもみられ心疾患のスクリーニング法としても用いられるが,心疾患以外の胸腔内疾患に伴って観察されることもある。また,心臓以外の胸腔内構造のエコー輝度に注意を払うことも重要である。正常肺は肝臓よりもややエコー輝度が高く,左右均一に観察される。これが均一でない,あるいは高輝度または低輝度に観察されるという場合,それが正常肺でない可能性を考える。
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