特集 見て,聞いて,触って,五感で診る新生児の異常とその対応
周産期の呼吸不全の原因となる鼻の異常―先天性梨状口狭窄と先天性後鼻孔閉鎖
大塚 雄一郎
1
,
晝間 清
2
,
山崎 一樹
3
,
花澤 豊行
3
,
長谷川 久弥
4
OHTSUKA Yuichiro
1
,
HIRUMA Kiyoshi
2
,
YAMASAKI Kazuki
3
,
HANAZAWA Toyoyuki
3
,
HASEGAWA Hisaya
4
1千葉市立海浜病院耳鼻咽喉科
2川崎市立多摩病院耳鼻咽喉科
3千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学教室
4東京女子医科大学東医療センター新生児科
pp.1358-1362
発行日 2022年10月10日
Published Date 2022/10/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000350
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はじめに
鼻閉や鼻汁を認める新生児は少なくないが,鼻閉だけが原因で呼吸不全をきたすことはまれである。しかし,新生児は鼻呼吸が主体のため両側鼻腔が狭窄すると呼吸不全をきたし,きわめてまれに気管挿管が必要となることがある。新生児の鼻腔狭窄としては先天性後鼻孔閉鎖症がよく知られていて,内視鏡とCTで後鼻孔の閉鎖を確認できれば容易に診断できる。一方,前鼻腔狭窄についてはその定量が難しく,これまでさまざまな名称で報告されているが,明確な診断基準を欠いていた。しかし1989年にBrownらが先天性梨状口狭窄を提唱した1)。上顎骨の梨状口に骨棘が異常増生することで前鼻腔狭窄をきたす疾患で,CTで梨状口の幅が11mm未満であれば先天性梨状口狭窄と診断できる。わが国では1999年のKawamuraらの報告が最初である2)。しかし1998年に大山らが「骨性前鼻孔狭窄症」の診断名での手術例を報告しており,その画像所見は先天性梨状口狭窄に合致している3)。そのほかにも,過去に報告された前鼻腔狭窄の症例には先天性梨状口狭窄が多数含まれていると考える。
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