特集 私の伝えたい頭頸部の手術手技
【頭頸部の非腫瘍手術】
披裂軟骨内転術
齋藤 康一郎
1
Koichiro Saito
1
1杏林大学医学部耳鼻咽喉科学教室
キーワード:
披裂軟骨内転術
,
適応
,
手技
Keyword:
披裂軟骨内転術
,
適応
,
手技
pp.632-637
発行日 2026年6月1日
Published Date 2026/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000002157
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はじめに
披裂軟骨内転術(以下内転術)は,一側声帯麻痺の患者に対し,頸部を外切開し,患側披裂軟骨の筋突起にかけた糸を,外側輪状披裂筋を模して前方に牽引することで声帯を生理的な発声時の状態で固定する術式である。披裂軟骨の,前方(腹側)へのsliding,内側へのrockingとrotationを行うことで,声帯突起は前(腹側)下(尾側)内側に移動し,発声時の後部声門間隙を矯正することができる。本術式は,内転術による患側声帯(突起)のmedialization(内方移動)に加え,甲状軟骨形成術I型(以下I型)による患側声帯のaugmentation(ボリュームの増加)も追加することで,極めて強力な治療強度を発揮することができる音声改善手術である。内転術1),I型2)いずれも一色によるクラシックな術式ではあるが,提唱されて約50年が経過した現在も大変有用であるうえ,ポイントを押さえていれば決して難しい術式ではない。対象となる一側声帯麻痺は,日常臨床の現場でしばしば目にする疾患であることから,若い耳鼻咽喉科医にも是非とも身につけていただきたい手技である。

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