特集 耳科診療の論点―異なる立場の対話とディベート―
異なる診療科の立場から
小児急性中耳炎の対応―耳鼻咽喉科医の立場から―
有本 友季子
1
Yukiko Arimoto
1
1千葉県こども病院耳鼻咽喉科
キーワード:
急性中耳炎
,
小児
,
小児急性中耳炎診療ガイドライン
Keyword:
急性中耳炎
,
小児
,
小児急性中耳炎診療ガイドライン
pp.239-242
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000982
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はじめに
小児急性中耳炎は,小児で最も多くみられる上気道感染症疾患と言っても過言ではない。欧米の報告では,1歳までに62%,3歳までに83%の小児が少なくとも1回は罹患するとされる1)。小児急性中耳炎は,2000年初頭には耐性菌の蔓延による難治化がみられ,対応に苦慮する例も多く経験した。その後,耐性菌に高い感受性をもつ経口抗菌薬の小児適応が承認され,抗菌薬の選択肢も拡がった。また,2002年に小児急性上気道感染症に対する第一選択薬をペニシリン系抗菌薬とすることが推奨され,2006年には「小児急性中耳炎診療ガイドライン」がわが国で初めて発表された。抗菌薬の適正使用や診療ガイドラインが普及するにつれ耐性菌が占める割合は減少し,以前よりは少ないものの現在でも難治例や反復例に遭遇することはある。
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