Japanese
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特集 透析療法の課題,展望
各論
腎移植後透析再導入―現状と予後
腹膜透析/併用療法
Patient care for failed kidney allograft
前 遥貴
1
,
山本 泉
1
MAE Haruki
1
,
YAMAMOTO Izumi
1
1東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科
キーワード:
移植腎廃絶
,
腹膜透析
,
免疫抑制薬
,
graft intolerance syndrome
Keyword:
移植腎廃絶
,
腹膜透析
,
免疫抑制薬
,
graft intolerance syndrome
pp.109-113
発行日 2025年1月25日
Published Date 2025/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001754
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はじめに
腎移植の件数は近年増加傾向であり,その成績も免疫抑制薬の進歩とともに飛躍的に改善した。具体的には,2001~2009年に施行された腎移植におけるグラフトの15年生着率として,生体腎で70.4%,献腎で53.6%とされている1)。現在では腎代替療法の第一選択としての立ち位置を確立し,透析と比較して生命・腎予後や医療経済の観点において優位性を有する。しかし,その生着率やgraft survivalの期間が延びている一方,移植件数の増加とともに移植腎廃絶件数の絶対数は増加している2)。移植腎廃絶患者は同等の腎機能を有する非腎移植の慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者と比較して死亡率が高いことが知られており,彼らはいわば“脆弱な患者集団”である。こうした患者集団に対する適切なCKD管理や免疫抑制薬の調整が求められる一方,十分なエビデンスがなく,各施設に一任されている側面が大きい。本稿では,現在までに報告されている移植腎廃絶に対する腎代替療法の導入・モダリティ選択や免疫抑制薬の漸減・中止方法,graft intolerance syndrome(GIS),廃絶腎摘出を中心に概説する。
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