高齢レシピエント（認知症・フレイルなど）の外来管理と諸問題

Outpatient management of elderly recipients（dementia, frailty, etc.）and various problems

はじめに

　免疫抑制療法を中心とした医療技術の進歩は腎移植の長期生着をもたらし，また高齢腎不全患者への適応拡大もあいまって，フォローを要する高齢腎移植患者が増加している。高齢腎移植患者では，拒絶反応，感染症といった移植後早期に一般にみられる合併症や，維持期の心血管イベント，高血圧，糖尿病，悪性腫瘍といったものに加え，認知症，フレイル，転倒・骨折などにも注意が必要となる。しかもこれらの状態は合併しやすく，移植腎機能を維持したまま一般高齢者と同様に要介護状態となる事例もみられ，このような場合，急性期医療を担う移植施設がこの慢性期医療にも取り組むことは現実的ではなく，各方面と強固な連携を取り，「地域包括ケアシステム」のなかで支えていく必要も出てくる。本稿では高齢者特有の課題を中心に，移植後フォローの問題点につき述べる。