Japanese
English
増刊号 腎代替療法のすべて
【第9章 透析患者の合併症】
17 吐血・下血
Hematemesis and melena as a complication of dialysis patients
小澤 潔
1
Ozawa Kiyoshi
1
1眞仁会横須賀クリニック
キーワード:
吐血
,
下血
,
抗血小板薬
,
NSAIDs
,
栄養障害
Keyword:
吐血
,
下血
,
抗血小板薬
,
NSAIDs
,
栄養障害
pp.531-535
発行日 2022年6月15日
Published Date 2022/6/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000494
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はじめに
日本透析医学会の統計調査によると,消化管出血による死亡は全透析患者の死因の2~3%を占めている。エリスロポエチン(erythropoietin:EPO)をはじめとする赤血球造血刺激因子製剤(erythropoiesis stimulating agent:ESA)治療により,平均Hb値は10.8g/dLまで上昇したものの消化管出血による死亡率が,現状以上に改善することを期待するのは難しい。その大きな理由として,① 低栄養状態による組織修復力の低下,② 動脈硬化による消化管の虚血性障害,③ 併発する心血管障害に対する抗血小板薬,抗凝固薬の使用,④ 骨・関節・骨格筋障害に対する鎮痛薬の使用,⑤ リン吸着薬,イオン交換樹脂による特に下部消化管に対する負荷,などにより本来出血を伴わない,あるいは伴っても少量で止血し修復されるような病変であっても,多量出血につながる可能性が大きいためである。さらに定期的体外循環に使用される抗凝固薬が出血を助長するため,毎透析時の問診により早期に診断することが重要となる。
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