巻頭言
血糖散策―尿糖・血糖,そして腎と透析
繪本 正憲
1
1大阪公立大学大学院医学研究科 代謝内分泌病態内科学
pp.661-662
発行日 2022年4月25日
Published Date 2022/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000131
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2021年は,インスリン発見100周年の年であった。さまざまな関連するイベントが開催された。1921年にトロント大学のFrederick BantingとCharles Bestによりインスリンが発見され,その翌年には1型糖尿病患者に投与され劇的な効果を示し,1923年にはノーベル賞も授与されている。糖尿病は,その名前にあるように,尿に多量の糖が排出される疾患である。古くは,古代エジプトのパピルスに当時の治療に関する記載があるという。ローマ時代には,「飲水がやめられず,サイフォンのように尿がとめどもなく出る病気」としてギリシャ語のsiphonに相当するdiabetesという言葉で,その病状が詳細に記載されている。驚くことに,口渇,多尿,多飲,体重減少という現代の糖尿病の診断に重要な症状や「慢性疾患で短命」であることも記載されているという。
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