Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
疾患の概要
ランブル鞭毛虫症(ジアルジア症)は,原虫の一種であるランブル鞭毛虫(Giardia duodenalis 別名:G. intestinalis, G. lamblia)による感染症である。ランブル鞭毛虫は地球上に存在する最も古い真核生物の一つで,ミトコンドリアを有しない。発展途上国を中心に世界中に広く分布し,全世界の患者数は約2億人と考えられている。日本寄生虫学会の和名表では「ランブル鞭毛虫」とされているが,感染症法では「ジアルジア症」とされ,五類感染症(全数把握疾患)に指定されており,診断後1週間以内の届け出が義務づけられている1)。2016〜2020年の本邦における報告数は年間28〜71人で推移している2)。日本では,海外旅行や性行為が感染契機となる場合が多いが,水道管に汚水が混入したことによる集団発生や,動物からの感染も報告されている3)。本原虫は,腸管内で増殖する栄養型と,外部環境に耐性をもつ囊子(シスト)の形態をとり,感染者の糞便に排出される囊子の経口摂取で感染する。摂取された囊子は胃を通過後,速やかに脱囊して栄養型となり,十二指腸〜上部小腸付近に定着する。栄養型は鞭毛をもち活発に運動し,腹部の吸着円盤で粘膜に吸着する。粘膜固有層や粘膜下層に侵入する場合もある。下部消化管に達した栄養型は再び囊子となり,体外に排泄され外界で生存する1)。囊子を経口摂取した場合,多くが無症候性囊子排出者となる。潜伏期間は約1〜8週間とされ,発症すると下痢,腹痛,鼓腸,げっぷの増加,放屁,悪心などの症状を呈する。胆管や膵管に栄養型が侵入し,胆管炎や膵炎を発症する場合もある。本原虫の感染により小腸絨毛の萎縮や形態変化,糖分解酵素活性の低下,胆汁酸の脱抱合や脂肪分解酵素の阻害が惹起され,吸収不良から栄養障害を生じ,小児では発育不良をきたす場合もある3, 5)。

© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.

