連載
症例をどうみるか 1歳でI・II波のみのABRが3歳でI~V波まで出現した重複障害児の1例
品川 潤
1
,
加我 君孝
1信州大学 医学部耳鼻咽喉科学講座
キーワード:
MRI
,
水頭症
,
脳幹
,
脳幹聴覚誘発電位
,
自然耳音響放射
,
超低出生体重児
,
障害児
Keyword:
Brain Stem
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Hydrocephalus
,
Otoacoustic Emissions, Spontaneous
,
Evoked Potentials, Auditory, Brain Stem
,
Disabled Children
,
Infant, Extremely Low Birth Weight
pp.641-645
発行日 2019年5月1日
Published Date 2019/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/J01814.2019247391
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症例は3歳男児で、生後早期にセレウス菌による敗血症と播種性血管内凝固症候群から敗血症性ショックとなり、広範囲におよぶ脳室内出血と脳室周囲白質軟化症をきたした。聴力と脳幹機能の評価目的に施行した聴性脳幹反応(ABR)で波形異常を認めたため、難聴についての精査および評価目的に当科紹介受診となった。1歳1ヵ月時のABRでは右耳では40dBまでI波のみを認め、左耳では90dBでI・II波を認め、50dBまでI波を認めた。音に対する聴性行動は当科初診時から不変であり、意思疎通は不能であった。3歳1ヵ月時のABRでは、右耳では70dBでI~V波を認め、30dBまでV波を認めた。左耳では70dBでI~V波を認めたが、50dBまでI波を認めた。2歳10ヵ月時の頭部MRIでは、両側に著明な脳室拡大、水頭症を認めたが、前頭葉や右聴皮質は残存していた。
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