症例
ANCA関連腎炎を背景に薬剤性高Ca血症によるAKIを合併した高齢女性の1例
栗原 功
1
,
石川 綾子
,
小原 克也
1国家公務員共済組合連合会東北公済病院 内科
キーワード:
Prednisolone
,
高カルシウム血症
,
骨粗鬆症
,
急性腎障害
,
抗好中球細胞質抗体
,
Polycarbophil
,
過敏性腸症候群
,
Eldecalcitol
,
腎炎-抗好中球細胞質抗体関連
Keyword:
Antibodies, Antineutrophil Cytoplasmic
,
Hypercalcemia
,
Osteoporosis
,
Prednisolone
,
Acute Kidney Injury
,
Irritable Bowel Syndrome
,
Calcium Polycarbophil
,
Eldecalcitol
pp.307-310
発行日 2021年2月25日
Published Date 2021/2/25
DOI https://doi.org/10.24479/J00714.2021190160
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は80歳代女性で、慢性胃炎、逆流性食道炎、過敏性腸症候群、便秘症、脂質異常症、骨粗鬆症にて加療中であった。X年7月に行った一般検査にて貧血の進行が認められたが原因は不明で、その後9月には腎機能の低下が認められた。発熱は認められなかったが、貧血、白血球増多、軽度CRP上昇、数ヵ月間にわたる進行性腎障害などから、急速進行性糸球体腎炎が疑われた。しかし、腎不全にもかかわらず高カルシウム(Ca)血症を呈しており、エルデカルシトールを0.75μg/日と常用量にて服用していることから、ビタミンDによる高Ca血症性急性腎障害と診断した。被疑薬であるエルデカルシトールを中止、補液を開始したが、第3病日には血清補正Ca 10.9mg/dL、Cr 3.6mg/dLとCa低下が不十分であり、継続していた内服薬を再度確認した。その結果、ポリカルボフィルCa3.0gには600mgのCaが含まれていることに気づかれ、同日より同剤を中止したところ、第6病日には血清補正Ca 9.1mg/dL、Cr 2.7mg/dLと低下した。スクリーニング検査として提出したmyeloperoxidase-antineutrophil cytoplasmic antibody(MPO-ANCA)が120IU/mLと高値であることが第6病日に判明し、長期間にわたる進行性腎障害の原因はMPO-ANCA関連腎炎と考えられた。第20病日からプレドニゾロン30mg/日を初期量とするステロイド治療を開始したところ、MPO-ANCAは順調に低下し、X+1年7月以降は測定感度以下が維持されている。
Copyright© 2021 tokyo-igakusha.co.jp. All rights reserved.