症例
遷延するロタウイルス下痢症により診断されたX連鎖重症複合免疫不全症の乳児例
渡邊 敏史
1
,
佐藤 智信
,
大浦 果寿美
,
高畑 明日香
,
加藤 晶
,
越田 慎一
,
菅沼 隆
,
三河 誠
,
井口 晶裕
,
山田 雅文
,
有賀 正
1北見赤十字病院 小児科
キーワード:
ロタウイルス感染症
,
下痢
,
予防接種
,
造血幹細胞移植
,
フレームシフト変異
,
遺伝学的検査
,
複合型免疫不全症-X連鎖性
,
5価経口弱毒生ロタウイルスワクチン
Keyword:
Frameshift Mutation
,
Genetic Testing
,
Vaccination
,
Rotavirus Infections
,
Diarrhea
,
Hematopoietic Stem Cell Transplantation
,
X-Linked Combined Immunodeficiency Diseases
,
RotaTeq
pp.1317-1321
発行日 2021年8月1日
Published Date 2021/8/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00648.2021355511
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生後6ヵ月男児。遷延する水様便と体重減少を主訴に近医の小児科を受診後、当科へ入院となった。便中ロタウイルス抗原が陽性であり、ロタウイルス下痢症として補液にて経過観察されていたが、下痢や体重増加不良は遷延した。そこで、血液検査を行ったところ、リンパ球数と血清IgG値の著しい低下ほか、KL-6高値とASTおよびLDHの上昇が認められた。また、末梢血リンパ球のサブセット解析ではT細胞やNK細胞の著明な減少も確認された。以上、これらの所見を踏まえて、本症例はX連鎖重症複合免疫不全症と診断され、生後9ヵ月時に非血縁者臍帯血移植が行われた。その結果、移植後3年経過現在、免疫能は改善し、成長発達も良好である。
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