特集 新生児外科疾患の精神・身体発育
頸部リンパ管腫(囊胞性リンパ管奇形)
藤野 明浩
1
1国立成育医療研究センター 臓器・運動器病態外科部外科
キーワード:
Picibanil
,
胃造瘻術
,
経腸栄養
,
硬化療法
,
成長障害
,
X線CT
,
頭頸部腫瘍
,
リンパ管腫-嚢胞性
Keyword:
Enteral Nutrition
,
Sclerotherapy
,
Head and Neck Neoplasms
,
Growth Disorders
,
Gastrostomy
,
Lymphangioma, Cystic
,
Picibanil
,
Tomography, X-Ray Computed
pp.80-85
発行日 2019年1月25日
Published Date 2019/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/J00645.2019141557
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症例1は10歳女児で、両側頬部頸部縦隔の巨大リンパ管腫と出生前診断されていた。病変は広範囲で完全に気道全周を取り巻き、十分な切除は危険を伴うこと、新生児期の切除後にリンパ漏が持続したこと、その後リンパうっ滞に伴い再増大したこと、縦隔病変は年齢が上がると気道への影響が小さくなることから、縦隔病変の治療を躊躇していた。4歳時に退院し、その後の精神運動発育遅滞の改善は急速であったが、10歳時の現在は言語発達の遅れが深刻である。また、病変の慢性的なリンパうっ滞や炎症状態を制御できず、学校生活の妨げになっている。症例2は1歳6ヵ月男児で、前~右~後頸部および縦隔リンパ管腫と出生前診断されていた。巨大であるが、片側の病変であるため、治療のリスクが症例1より小さく、機能も十分期待された。外科的切除に硬化療法を加えたが、機能障害を生じることなく、病変が縮小した。現在、大きな発達の遅れを認めていない。
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