特集 赤血球造血のメカニズムとその異常 -最近の進歩-
2.エリスロポエチンによる赤血球造血制御のメカニズム
鈴木教郎
1
Norio Suzuki
1
1東北大学大学院医学系研究科 附属創生応用医学研究センター 酸素医学分野 准教授
pp.1301-1308
発行日 2018年8月30日
Published Date 2018/8/30
DOI https://doi.org/10.20837/52018091301
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
赤血球は各臓器への酸素供給に必須であり,赤血球造血は個体の酸素環境に応じて厳密に調節されている。骨髄での赤血球造血は,腎臓から分泌されるエリスロポエチン(EPO)によって活性化される。腎臓のEPO産生量は個体の酸素環境と関連しており,貧血状態は低酸素応答機構を活性化し,腎臓のEPO遺伝子発現を誘導する。一方,慢性腎臓病は低酸素応答機構を破綻させ,EPO欠乏性貧血の原因となる。EPOは骨髄で赤血球造血を促すとともに,ヘモグロビン生合成のために鉄利用を促進する。本稿では,腎臓でのEPO産生制御機構に加え,赤血球造血誘導と鉄利用促進におけるEPOの作用機序を概説する。