Topics「身近な話題・世界の話題」(157)
成熟型T細胞リンパ腫におけるRHOA変異の特徴
永田安伸
1
Yasunobu Nagata
1
1クリーブランドクリニック ポストドクトラルフェロー
pp.854-859
発行日 2017年5月30日
Published Date 2017/5/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201706080
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成熟型T細胞リンパ腫は予後不良の疾患であり,いくつかのサブタイプに分類されるが,その詳細な分子メカニズムは未だ十分に解明されていない。次世代シークエンス技術を用いた網羅的な遺伝子解析により,RHOA変異が病態に関わっていることが同定され,興味深いことに変異の分布や腫瘍化に関わる機能が疾患分類ごとに大きく異なることが明らかとなった1)。血管免疫芽球性T細胞リンパ腫において,RHOA変異は一カ所に集中し機能喪失が腫瘍化に関わっていた。一方,成人T細胞性白血病・リンパ腫においては,複数のGTP結合部位にまたがる非常にユニークな変異分布であり,それらの多くはRHOAの機能を亢進させる機能獲得が腫瘍化に関わることが発見された。