Topics「身近な話題・世界の話題」(156)
昆虫が作る血液製剤の可能性
岩城孝行
1
Takayuki Iwaki
1
1浜松医科大学 薬理学教室 准教授
pp.726-729
発行日 2017年4月30日
Published Date 2017/4/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201705090
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血液凝固因子,抗凝固因子,線溶因子に属するセリン酵素を遺伝子組換えで産生する場合,大腸菌や酵母菌ではほぼ不可能であり,動物細胞を利用する必要がある。動物細胞の利用においては培養における血清の使用の有無にかかわらず,感染性物質の混入の懸念がぬぐえない。最近になり,昆虫由来細胞やカイコ本体を用いた機能性の血液凝固因子の産生が報告されてきている。昆虫細胞の培養や昆虫本体の維持はコスト的に大変優れており,ヒトを含めた哺乳類に対する感染性物質が極めて少ないため,これらをプラットフォームとした血液製剤の産生は大きな可能性を秘めている。