Topics「身近な話題・世界の話題」(140)
エリスロフェロン
川端浩
1
Hiroshi Kawabata
1
1京都大学大学院 医学研究科 血液・腫瘍内科学 講師
pp.698-702
発行日 2015年4月30日
Published Date 2015/4/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201505114
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赤血球造血系はヘモグロビン合成のために毎日大量の鉄を消費している。これに対して肝臓から分泌されるヘプシジンは,鉄の吸収やリサイクルにブレーキをかけて造血系に供給される鉄を減少させる。赤血球造血系と肝臓の鉄代謝制御系をつなぐ因子としてエリスロフェロンが同定された。赤血球造血が亢進すると,赤芽球からエリスロフェロンが分泌されて肝臓におけるヘプシジンの発現を抑制し,血漿中への鉄の供給を増加させる。βサラセミアなどの無効造血疾患では,エリスロフェロンの過剰産生が鉄過剰症の原因になっている可能性がある。