特集 間葉系幹細胞を用いた細胞治療
2.間葉系幹細胞による免疫制御
翁家国
1
Iekuni Oh
1
1自治医科大学医学部 内科学講座 血液学部門 講師
pp.463-471
発行日 2013年3月30日
Published Date 2013/3/30
DOI https://doi.org/10.20837/5201304463
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間葉系幹細胞(MSC)の免疫調節作用について概説する。MSCはalloreactiveなT細胞の増殖を抑制する。このとき,Th1の反応系は抑制する一方で,Th2の反応系を促進することで炎症を減弱させる。樹状細胞に対してはmyeloid DCの機能は抑制するものの,plasmacytoid DCの機能は促進する。また,ナイーブT細胞から制御性T細胞を誘導することで免疫寛容を誘導する。これらの抗炎症作用,免疫寛容の誘導はMSCから産生される液性因子が重要であり,様々な候補分子が報告されている。複数の免疫抑制物質は複合的に作用し効果を発揮するものと思われる。急性GVHDの治療を想定すると,上述したMSCの多様な免疫調節作用は,単一の化学物質やサイトカインによる治療よりも,MSCを投与する方がより有効である可能性を示唆するものである。