連載 記憶に残る症例(34)
神経ベーチェット病との出会い
廣畑俊成
1
Shunsei Hirohata
1
1北里大学医学部膠原病感染内科教授
pp.804-808
発行日 2017年5月15日
Published Date 2017/5/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201706102
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
神経ベーチェット病は急性型と慢性進行型の2つに分類される。急性型は急性ないし亜急性に発症した髄膜脳炎の形をとり,髄液の細胞数が著明に上昇し,時にMRIのフレア画像で高信号域を認める。一方,慢性進行型では,認知症様の精神神経症状や失調性歩行が徐々に進行し,患者はついには寝たきりになってしまう。この病型では,髄液中のIL-6が持続的に異常高値を示すとともにMRIでは脳幹部の萎縮を認める。この2つの病型の存在に注目し,それぞれの診断と治療法を確立してゆく過程でいろいろな患者との出会いが重要な示唆を与えてくれた。ここでは,こうした経過を振り返ってみたい。