特集 メディエーターと新しい受容体拮抗薬
Ⅵ.CRTH2受容体拮抗薬
岡野光博
1
Mitsuhiro Okano
1
1岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学准教授
pp.204-210
発行日 2017年1月15日
Published Date 2017/1/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201702050
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CRTH2(Chemoattractant receptor-homologous molecule expressed on Th2 cells)はプロスタグランジンD2(PGD2)受容体の1つである。CRTH2は,Th2細胞,ILC2細胞,好酸球,好塩基球といったアレルギー性炎症に関与する細胞に選択的に発現することから,アレルギー治療のターゲットとなる。現在,ラマトロバンが市販される唯一のCRTH2受容体拮抗薬である。本剤はトロンボキサンA2受容体(TP)も阻害するデュアルアンタゴニストである。CRTH2を介するシグナルは鼻粘膜局所の好酸球浸潤を促進し,またTPを介するシグナルは鼻粘膜の血管透過性亢進や鼻腔抵抗の上昇に寄与する。ラマトロバンはこれらのシグナルをブロックすることにより,特に鼻閉に高い臨床効果を示す。また現在では,より選択性の高いCRTH2受容体拮抗薬が開発され,アレルギー性鼻炎や気管支喘息を主な対象疾患として臨床試験が展開されている。