総説
扁桃周囲膿瘍の病態と治療
黒野祐一
1
,
大堀純一郎
1
Yuichi Kurono
1
,
Junichiro Ohori
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
pp.109-116
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.20837/3201701109
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扁桃周囲膿瘍の多くは口蓋扁桃の上極に膿瘍を形成し,開口制限や口蓋垂の偏位などの臨床所見を伴う。しかし,下極にも生じることがあり,高齢者でその頻度が高く,これらの臨床所見を欠くことが少なくない。また,口蓋扁桃の被膜外のみならず被膜内にも膿瘍を形成し,膿瘍が局在する部位によって病態が異なる。とくに下極Cap型の扁桃周囲膿瘍は急性喉頭蓋炎を発症しやすいため注意が必要である。本症では膿汁への抗菌薬の移行が不良であり,患側口蓋扁桃も健側と比較して薬剤移行性が低下している。したがって,外科的処置による排膿を積極的に行うとともに,薬剤感受性だけでなく組織移行性にも優れる抗菌薬を選択し投与することが重要である。