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特集 国際的に脅威となる感染症
7.ジカウイルス感染症の世界的な疫学状況と国内対応
Latest global situation and our response to the Zika virus
松井佑亮
1
,
大石和徳
2
Matsui Yusuke
1
,
Oishi Kazunori
2
1国立感染症研究所FETP(実地疫学専門家養成コース)
2国立感染症研究所感染症疫学センター センター長
キーワード:
ジカウイルス病
,
先天性ジカウイルス感染症
,
小頭症
,
ギラン・バレー症候群
,
蚊媒介ウイルス感染症
Keyword:
ジカウイルス病
,
先天性ジカウイルス感染症
,
小頭症
,
ギラン・バレー症候群
,
蚊媒介ウイルス感染症
pp.73-82
発行日 2017年1月25日
Published Date 2017/1/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201702073
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ジカウイルス感染症は蚊媒介ウイルス感染症であり,感染症法上の四類感染症に位置づけられている。蚊媒介感染症であるデング熱,チクングニア熱より一般的に軽症であり,患者の多くは後遺症なく治癒する。しかし,2013年には仏領ポリネシアで約3万人の流行を認め,大規模な後方視的な疫学調査によりジカウイルス感染症とギラン・バレー症候群との関連が示唆された。さらに2015年以降にはブラジルを中心とする中南米やカリブ海地域での大流行にともない,妊娠中のジカウイルス感染による胎児の小頭症の報告が増加し,ジカウイルス感染が小頭症の原因となることが明らかとなった。また,蚊媒介による感染や母子感染に加えて,性行為を介した感染や輸血を介した感染についても確認されている。本稿では,ジカウイルス感染症の世界的な疫学情報,小頭症などの先天異常やギラン・バレー症候群との関連,国内での対応などについて概説する。