糖尿病の最新治療と総合戦略~薬物療法を中心に~
高齢者糖尿病治療におけるSGLT2阻害薬の使い方
犬飼浩一
1
1社会医療法人大和会 東大和病院・副院長/同 糖尿病センター長・科長
pp.1699-1704
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201707125
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SGLT2(sodium-glucose cotransporter 2)阻害薬の高齢者市販後全例調査の結果によれば,高齢者へSGLT2阻害薬を使用する際,特に注意すべきことは,体液量減少(脱水)であると考えられる。この有害事象が高齢者に多い理由として,口喝中枢の低下,認知症などのADL(日常生活動作)の低下,頻尿などにより飲水が不十分な傾向があるためである。従って,高齢者へSGLT2阻害薬を投与する際の注意点として,①(症候性)脳梗塞の既往なし,② 老年症候群なし,③ 頻尿傾向(夜間1回まで)なし,の3点が重要であると思われる。SGLT2阻害薬の中でも尿量増加がほとんどないとされるルセオグリフロジンを高齢者糖尿病40例に投与し,高い安全性と有効性を示すことができた。今後,高齢者にSGLT2阻害薬を投与する際の薬剤選択にも,十分な注意を払う必要があると思われる。