特集 糖尿病の最新治療と総合戦略~薬物療法を中心に~
3.DPP-4阻害薬
矢部大介
1
1関西電力医学研究所 副所長/同 糖尿病研究センター 糖尿病・内分泌研究部・部長 京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学・特定准教授
pp.1649-1655
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201707075
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DPP-4(dipeptidyl peptidase-4)阻害薬は,糖尿病薬の処方を受ける者の約7割,実に300万人以上に使用されている。非肥満かつ,インスリン分泌不全を特徴とする日本人では,他民族と比して治療効果が大きく,第一選択薬になる可能性がある。低血糖リスクが低く,体重を増加させない点から,使い勝手の良い糖尿病治療薬であるが,有効性を維持するには糖尿病治療の基本である食事・運動療法が他薬に比して,より重要となる。副 作用は限定的であるが,SU(スルホニル尿素)薬併用時の重症低血糖や急性膵炎,心不全など副作用に関する懸念に対して,引き続き慎重に観察する必要がある。上市後7年にして,今一度,安全性や有効性に関する知見を再認識して,日常の糖尿病診療に活用することが望まれる。