連載 薬剤師による処方設計〈25〉
カルバペネム系抗菌薬の最適治療支援 ~ファーマコメトリクスの臨床応用~
石原慎之
1
,
西村信弘
2
,
礒部威
4
,
猪川和朗
5
,
森川則文
6
,
直良浩司
3
1島根大学医学部附属病院薬剤部
2島根大学医学部附属病院薬剤部准教授/副薬剤部長
3島根大学医学部附属病院薬剤部教授/薬剤部長
4教授/薬剤部長
5広島大学大学院臨床薬物治療学准教授
6広島大学大学院臨床薬物治療学教授
pp.1613-1618
発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201406127
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抗菌薬の薬物動態学(PK)と薬力学(PD)を統合した理論に基づき,モデリング&シミュレーション手法を応用して,医療関連肺炎患者に対する最適な投与方法を立案した,いわゆる臨床ファーマコメトリクスによる薬剤師の感染症治療への介入事例を紹介する。カルバペネム系抗菌薬メロペネムの日本人成人患者の母集団PKパラメータを用いたPK-PDソフトウェア「オメガモン博士」を用いて,患者の腎機能を指標に,個別のT> MIC(薬物血中濃度が最小発育阻止濃度を上回る時間の割合)が40%を超える目標値を達成する確率を求め,80%以上の確率が得られる投与方法を推奨した。その結果,メロペネムによる臨床効果は有効であり,細菌学的効果も認められた。また,メロペネムに起因する副作用はなく,安全に投与を終了することができた。以上より,モンテカルロシミュレーションを利用したPK-PDソフトウェアをプロスペクティブに適用することで,PK-PD理論に基づいたメロペネムの最適治療支援を行うことができ,良好なアウトカムを得られることが示された。