連載 患者のQOL向上と薬剤師の関わり PART I .院内製剤(67)
疼痛を伴う癌性潰瘍の悪臭改善の治療~リドカイン配合メトロニダゾール軟膏の有用性
塩塚雄基
1
,
森山彬
1
,
上淵未来
1
,
濵田政司
1
,
藤井裕史
1
,
藤井憲一郎
1
1健康保険 熊本総合病院 薬剤管理センター
pp.1225-1229
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201404143
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熊本総合病院では,癌性潰瘍部の悪臭に対し,メトロニダゾール軟膏(以下,MNZ軟膏)を使用している。患部の激痛のためMNZ軟膏を塗布したガーゼの交換を拒否し,MNZ軟膏の使用が困難となった2症例に対し,表面麻酔作用のあるリドカインゼリー2%を60~120g混合したMNZ軟膏を使用した。それによりガーゼ交換時の激痛が改善し,悪臭の改善も得られた。患者の1人はPerformance Status(PS)が4から1へと改善した。製剤中のリドカインの濃度は,リドカインゼリー2% 60gをMNZ軟膏500gに混合したもので0.21%。120g混合製剤の場合0.39%と高い濃度ではなく,ショックや中枢神経障害,循環動態への副作用も見られず,比較的安全に使用できると考えられ,癌性潰瘍部の疼痛のためにMNZ軟膏の使用が難しい症例で有効ではないかと考える。