医薬ジャーナル論壇
OTC医薬品の意義と薬剤師 ―求められるキーパーソンの自覚―
前田健一郎
1
1本誌編集部
pp.809-811
発行日 2013年3月1日
Published Date 2013/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201303809
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昨年末から今年始めにかけて,OTC医薬品(一般用医薬品)と薬剤師との関係を,改めて考えさせる出来事が相次いだ。まず,最も世間の耳目を集めたのは,高脂血症治療薬エパデール(一般名:イコサペント酸エチル)のスイッチOTC医薬品化にまつわる騒動であろう。厚生労働省の承認に対して,日本医師会が猛反発,他の生活習慣病薬のスイッチ化への議論が宙に浮いた。次に,OTC医薬品のインターネット販売を規制した厚労省の省令は,違法であるとの最高裁判決があげられる。東京高裁に続いて一審判決を覆した判断は,対面販売を原則として主張してきた当局や日本薬剤師会に波紋を広げた。このような中で,厚労省による「平成23(2011)年度一般用医薬品販売制度定着状況調査」の結果が発表され,第1類医薬品の購入時に,薬剤師から文書による詳細な説明があった比率が55.2%にとどまるとのデータも示された。これらを通して見えてくるのは,OTC医薬品を取り扱う医療職として,改めて薬剤師の自覚が求められるということである。