消化管出血に対する診療-JGESガイドラインをふまえて
消化性潰瘍出血に対する外科治療の役割
阿部 展次
1
,
竹内 弘久
,
長尾 玄
,
正木 忠彦
,
森 俊幸
,
杉山 政則
1杏林大学 医学部外科
キーワード:
インターベンショナルラジオグラフィー
,
消化性潰瘍出血
,
内視鏡的止血
,
ランダム化比較試験
,
予防的手術
Keyword:
Peptic Ulcer Hemorrhage
,
Randomized Controlled Trials as Topic
,
Radiography, Interventional
,
Hemostasis, Endoscopic
,
Prophylactic Surgical Procedures
pp.295-300
発行日 2017年2月20日
Published Date 2017/2/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2017145696
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消化性潰瘍(再)出血の第一選択の治療法は内視鏡的止血であり,その不成功例がinterventional radiology(IVR)あるいは緊急手術の適応である.内視鏡的止血後の再出血高危険群を対象とした予防的待機的手術は,理論的には消化性潰瘍出血全体の死亡率を低下させる可能性があるが,現実には患者の状態(手術high riskなど)がそれを許さない場合が多い.IVRによる止血は,内視鏡的止血に続く第二選択の治療として望ましいとされるが,手術に勝る真のIVRの有効性を評価するにはランダム化比較試験が必要である.手術は消化性潰瘍出血に対する治療の"最後の砦"であり,外科に委ねられたら一刻の猶予もなく手術を行うことが救命につながる.内視鏡医あるいは放射線科医の止血困難との"見切り"も重要となる.消化性潰瘍出血に対する手術は,止血目的の縮小手術と,止血と減酸を目的とした根治手術の二種類に大別される.手術を行う場合は,患者の状態を十分に評価したうえで,適切な術式(縮小手術あるいは根治手術)を選択することが肝要である.
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