消化器癌予防up-to-date
胆道癌 胆石症と胆道癌
駒込 昌彦
1
,
別宮 好文
,
小澤 文明
,
牧 章
1埼玉医科大学総合医療センター 肝胆膵外科・小児外科
キーワード:
ヘリコバクター感染症
,
肝内胆管
,
危険因子
,
胆管癌
,
胆管腫瘍
,
胆石症
,
胆道腫瘍
,
胆嚢腫瘍
,
アルゴリズム
,
肝内結石症
,
腸上皮化生
,
発癌
Keyword:
Algorithms
,
Cholelithiasis
,
Bile Duct Neoplasms
,
Bile Ducts, Intrahepatic
,
Biliary Tract Neoplasms
,
Gallbladder Neoplasms
,
Risk Factors
,
Helicobacter Infections
,
Cholangiocarcinoma
,
Carcinogenesis
pp.1427-1435
発行日 2015年9月20日
Published Date 2015/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2015402762
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胆石が胆道系の癌(胆道癌;胆嚢癌,肝外胆管癌と肝内胆管癌)の発癌原因となるかどうかは長く議論されている.本邦での多目的コホート研究と海外のmeta-analysisでは,胆石保有者における胆嚢癌の発生率が高いとされた.しかし,無症状胆嚢結石を経過観察した場合に,無症候性胆嚢結石から胆嚢癌の発生はまれとの報告もある.現時点では,直径3cm以上の大結石,充満結石,陶器様胆嚢などは胆嚢癌合併の高リスクとされるが,無症候性胆嚢結石に対する予防的な胆嚢摘出術を施行することは胆石症ガイドラインでも推奨されていない.一方,肝内結石は肝内胆管癌の高リスク群とされており積極的な治療が行われている.とくに50%以上の肝萎縮を伴う症例では肝内胆管癌合併のリスクが高く肝切除が望ましいとされる.内視鏡的治療の進歩に伴い肝・胆切除を施行せずに肝内結石を除去することが可能となったが,胆管狭窄部が残存することとなり,将来的な肝内胆管癌の発生を見据えた慎重な経過観察が必要であるとされる.今後は胆道系の癌の罹患率や死亡数も増加すると予想され,胆石,胆道炎を含めた発癌機序のさらなる解明とともに,癌発症高リスク群の抽出と予防的治療の確立が期待される.
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