特集 あなたの知らないIBD診療の世界
巻頭言
加藤 順
1
1千葉大学消化器内科/千葉大学医学部附属病院内視鏡センター
pp.365-366
発行日 2023年3月20日
Published Date 2023/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002562
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いまどきの若い先生に,抗TNFα抗体のなかった時代のクローン病診療の話をしても,あまりピンときてもらえません.昔は,消化器内科の病棟には,中心静脈栄養の点滴を引きずりながら長期に入院している若いクローン病患者が1人や2人は必ずいるものでしたが,もはやそのような風景は見られなくなりました.それくらいIBD診療は劇的に変わったということでしょう.しかしながら,以前からある栄養療法に完全に使い道がなくなったわけでもありません.新しい治療薬の知識は,製薬メーカーが宣伝しに来たりしてなんとなく得られるかもしれませんが,IBD診療はそのようなメーカーの戦略薬だけで行うものではありません.メーカーが宣伝に来ないけれど,有用かつ必要な治療法〔ステロイド,血球成分除去療法(CAP),チオプリン製剤,栄養療法など〕の知識は,だれも教えてくれることがないため,新しくIBD診療を始められた若い世代の先生方は,もはやうまく使えなくなっているかもしれません.
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