特集 慢性便秘―新たな分類と病態・診断・治療
7.高齢者の便秘
山本 貴嗣
1
1帝京大学医学部内科学講座
キーワード:
慢性便秘
,
高齢者
,
基礎疾患
,
併存疾患
,
ポリファーマシー
Keyword:
慢性便秘
,
高齢者
,
基礎疾患
,
併存疾患
,
ポリファーマシー
pp.447-451
発行日 2018年3月20日
Published Date 2018/3/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000296
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超高齢社会の到来に伴い,わが国では慢性便秘症患者が増加傾向にある.高齢の便秘患者では複数の誘因が関連していることが多く,また加齢による身体的変化を伴っていることから治療に苦慮することも少なくない.排便障害はもともと低下している高齢者のQOL をさらに損なうため,適切かつ迅速な対応が求められる.社会的状況の改善など全人的対応が必要になることもあり,時に多職種で取り組むことが必要となる.診断においては,高齢者で悪性疾患の発症率がより高いため,器質的疾患の存在を念頭においた診療が重要である.治療では,まず食事生活習慣の改善を試みる.薬物治療の際は,まず市販薬など併用薬の情報を確認し,併存疾患や副作用に留意しながら緩下薬を中心に選択する.近年上市された上皮機能変容薬は安全性が高く高齢者においても使用しやすいが,効きすぎによる下痢,脱水に注意する.
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