忘れがたい症例
透析患者が教えてくれたアルミニウムの有毒性
鈴木 正司
1
1信楽園病院附属有明診療所
pp.863-869
発行日 2026年8月10日
Published Date 2026/8/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000003896
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臨床現場に58年もの間,身を置いてきた老医師にしてみれば,何例かの忘れがたい症例は当然ある.それは「地球上で人類が出現,進化してきた事実の背景には,腎臓が必須の臓器である」ことを如実に教えてくれた患者群である.彼らこそが,人類の知識に全く新しい概念を導いてくれたのである.アルミニウム(Al)は地球上で3番目に多い元素であり,地球上の生物は日常的にAl化合物と接してきた.粘土は二酸化ケイ素と酸化Alからなる微粒子であり,古くはこの粘土で土器を作り,現在ではAl製の調理器を日常的に使用している.また,粘土層を透過してきた水を飲んでいる.このように,地球上で生活する限り,Alとの接触を完全に断つことは不可能である.それどころか,1920年代からは消化性潰瘍に,1941年からはCKD患者の高リン(P)血症薬として,桁違いの量のAlが経口投与され始めた.一方で1920〜30年代の公衆衛生学の分野ではAlの毒性が疑われ,さらに1970〜72年にも論争があり動物実験も試みられたが,生体材料の微量Alを測定する技術がなく,結論が出せなかった.

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