6．透析患者における呼吸器感染症に対するワクチン接種

透析患者では感染症が死因第1位を占め，呼吸器感染症のリスクは健常者の2〜4倍と高い．本稿では肺炎球菌，インフルエンザ，新型コロナウイルス（COVID-19），麻疹・風疹，RSウイルスの五つのワクチンについて解説した．観察研究では，肺炎球菌ワクチンは全死亡率30％減少，インフルエンザワクチンは全死亡率32％減少，COVID-19ワクチンは感染率55〜75％減少の効果が示されており，すべての透析患者への接種が推奨される．麻疹・風疹ワクチンは透析患者特有のエビデンスが不足している．RSウイルスワクチンについては，確立したエビデンスはないが，易感染性である透析患者においては年齢や基礎疾患を考慮しながら適応を検討する必要がある．