特集 CKD診療における漢方と補完代替療法
5.保存期CKDに対する漢方薬
小野 孝彦
1,2
1尼崎永仁会クリニック腎臓内科
2 国際医療福祉大学熱海病院腎臓内科・漢方内科
キーワード:
漢方薬
,
七物降下湯
,
柴苓湯
,
八味地黄丸
,
偽アルドステロン症
Keyword:
漢方薬
,
七物降下湯
,
柴苓湯
,
八味地黄丸
,
偽アルドステロン症
pp.587-595
発行日 2022年6月10日
Published Date 2022/6/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000002156
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糖尿病性腎症,慢性腎炎,腎硬化症など各種の腎疾患をひとまとめにして慢性腎臓病(CKD)と呼んでいる.CKDステージG3b〜G5の腎代替療法開始前までを念頭に置いて,保存期CKDに対する漢方薬を概説する.蛋白尿を主体とする保存期CKDに対して柴苓湯を考慮するが,しばしばアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)と併用,G3bではミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)との三者併用も考慮する.腎硬化症は通常,高血圧が背景にあり,七物降下湯や八味地黄丸を考慮する.保存期CKDに至った糖尿病性腎症では八味地黄丸を考慮する.副作用や安全性に関して,甘草を多く含む漢方処方に偽アルドステロン症の発症リスクがあることを念頭に置く必要がある.
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