特集 感染症と医療安全
【特集コラム】手指衛生のモニター,実施率の測定,フィードバック
小松 康宏
1
1群馬大学大学院医学系研究科医療の質・安全学
キーワード:
手指衛生
,
医療関連感染症
,
JCI認証
Keyword:
手指衛生
,
医療関連感染症
,
JCI認証
pp.197-198
発行日 2021年2月10日
Published Date 2021/2/10
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001626
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医療関連感染症を防ぐうえで最も基本的で重要な予防策は手指衛生である.世界保健機関(WHO)が示した「手指衛生5つのタイミング」は,①患者に触れる前,②清潔・無菌操作の前,③体液に曝露された可能性のある場合,④患者に触れた後,⑤患者周辺の物品に触れた後,である.透析開始時や終了時に,透析スタッフは頻回に手指衛生を行うが,回診時も,患者周辺の物品(患者ベッド,テーブル,カルテ,透析コンソール,透析回路など)に接触した後には,確実に手指衛生を行わなくてはならない.手指衛生の重要性を頭では理解していても,実施率は必ずしも十分とはいえない.実施率を高めるには,職員に対する教育研修,手指消毒ディスペンサーなどの適切な配置,定期的なモニタリングとフィードバックによって,手指衛生を無意識に行う「身についた習慣」,全職員の常識となる文化を構築することが重要である.手指衛生実施率を評価する方法には,①観察者による目視での観察,②ネットワークカメラによる直接観察,③自動計測装置を用いた直接観察,④手指衛生消毒薬使用量の測定,がある.
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