血液浄化機器2020
第XV章 モニタリング機器 7.緊急用検査機器(i-STAT®)
原田 俊和
1
1日本臨床工学技士会・臨床工学技士(ミャンマー国ME 育成強化プロジェクト担当)
pp.1167-1169
発行日 2020年8月20日
Published Date 2020/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001435
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透析中や急患で運ばれた患者に対して,緊急検査を行うことは珍しくない.大・中規模病院では確立された検査室があり,検査技師が対応するかもしれない.また,スタッフが直接測定するように緊急検査室が設置され,自動分析機器を配置してあるかもしれない.しかし,自動分析機器を導入するには,高額な購入費,較正液・洗浄液や消耗品などのランニングコスト,いつでも使える状態にしておくためのメンテナンス,信頼できる検査値を得るためには精度管理が必要となり,人的・経済的負担を施設に強いるのも事実である.一方,現在ではベッドサイドで検査を行い,即,診療にフィードバッグするPOCT(point of care testing)の概念が注目されつつある.そこで,本稿では複数以上の検査項目を同時に測定でき,小型・軽量のPOCT 機器i-STAT1®(アボットジャパン合同株式会社)を紹介する.本機器は目的とした検査項目(血液ガス,電解質,Ht,乳酸,血糖,BUN,Cr など)の組み合わせで,14 種類のカートリッジに分かれる.加藤らはi-STAT1 アナライザーとカートリッジ(CHEM8+)の組み合わせで,従来の分析装置と比較して,有用性と性能評価を行った.その結果,相関係数と回帰式より遜色ない信頼性と精度を有する点や使用法においては簡便性並びに迅速性を認めたうえで,今後臨床現場でいっそう使用頻度が高まると報告している.
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