血液浄化機器2020
第Ⅱ章 透析装置 8.粉末製剤溶解装置
石森 勇
1
1東京女子医科大学臨床工学部・臨床工学技士
pp.963-967
発行日 2020年8月20日
Published Date 2020/8/20
DOI https://doi.org/10.19020/CD.0000001391
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血液透析治療には1 回当り100 L 以上に及ぶ大量の透析液を使用する.その透析液は濃縮された透析液原液を透析液供給装置が希釈することによって作製される.透析液原液は,塩の溶解度の問題から,おおむね30 倍程度の濃縮で作製されている.また,現在広く用いられている重炭酸透析液では,pH,2 価陽イオンと炭酸イオンによる溶解度の低い塩の生成などの問題により,原液を炭酸水素ナトリウム溶液であるB 液と,他の溶質の溶液であるA 液との2 剤にしている.標準的な治療条件である,透析液流量500 mL/min,治療時間4 時間,混合比率1:1.26:32.74 において,治療中だけで,A 原液3.4 L,B 原液4.3 L を使用することになり,運搬等の作業量,在庫体積などに問題が生じることがある.このため,溶解する前の粉末の状態の製剤が開発された.それと同時にこの粉末製剤を溶解し透析液原液とする装置が必要となる.これが粉末製剤溶解装置である.
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