投稿論文 工夫
眼窩陥凹に対する組織充填を目的とした眼輪筋弁付き挙筋前転術
中村 優
1,2,3,4
,
村木 剛
2
,
西堀 公治
3
,
山本 崇弘
4
,
森上 和樹
1
1城本クリニック
2藤原眼科
3西堀形成外科
4スキンクリニック山本皮フ科形成外科美容外科
pp.630-635
発行日 2024年6月10日
Published Date 2024/6/10
DOI https://doi.org/10.18916/keisei.2024060017
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はじめに
上眼瞼の眼窩陥凹の外科的治療は容易ではない。フィラーによる治療では凹凸変形やしこりを生じる可能性がある 1)。さらにこの治療を眼瞼下垂の手術に先んじて行うと,術野の展開の邪魔にもなる。一方で眼窩陥凹は,挙筋前転や眼窩脂肪の癒着解除などの従来の手術治療のみでもある程度緩和させることができる 2)。このような挙筋前転術による眼窩陥凹の緩和の機序としては,開瞼の改善により瞼の組織が頭側に引き上げられることや,眼窩脂肪が前下方に引き出されること,眉毛挙上の減少によって眉毛周囲の組織が眼瞼側に降りてくることにより,上眼窩部の組織の密度が増えることなどに由来するとされる(図1)。しかし,手術によって陥凹部の組織量自体が増えているわけではないこと,また眼窩脂肪はその後も加齢によって緩徐に減少することから,陥凹が強い場合には従来の手術による治療効果は限定的である。
今回,われわれは加齢性の眼窩陥凹に対して,挙筋前転術に加え眼輪筋弁を用いて陥凹部の組織量の増加を図ることで,陥凹変形の十分な改善が得られる方法を工夫したので報告する。
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