投稿論文 短報
重症サラセミア患者の腹腔鏡下脾臓摘出術の麻酔経験
笠井 智美
1
,
林 英明
,
浅井 真理子
,
石崎 剛
,
竹田 清
1国立病院機構大阪南医療センター 麻酔科
キーワード:
吸入麻酔
,
全身麻酔
,
脾臓摘出術
,
腹腔鏡法
,
サラセミア
,
Desflurane
Keyword:
Anesthesia, General
,
Anesthesia, Inhalation
,
Splenectomy
,
Thalassemia
,
Desflurane
,
Laparoscopy
pp.1321-1324
発行日 2020年12月10日
Published Date 2020/12/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2021100627
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69歳女。25歳時にサラセミアと診断され、慢性的な貧血に対してこれまで数回の輸血歴があった。今回、脾腫が原因と思われる左側腹部痛が増強し、鎮痛薬による治療では効果不十分となったため、疼痛の緩和と溶血の予防を目的に腹腔鏡下脾臓摘出術が予定された。貧血に対して術前に赤血球濃厚液4単位が輸血された。過剰鉄による臓器障害に関しては、心臓・肝臓・甲状腺について評価を要したが、いずれも大きな問題はないと判断された。骨病変については顔面骨の変形が挿管困難の原因となりうるが、通常の全身麻酔が可能と考えられた。血栓塞栓症についても術前のD-ダイマー値は正常範囲内であった。手術は無事終了し、その後の入院経過中も貧血の進行はなく、術後7日目に退院した。
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