投稿論文 短報
巨大卵巣腫瘍に対し術前にダブルバルーンカテーテルを用いて経皮的卵巣腫瘍内容物吸引を行った1症例
今田 祐紀
1
,
江木 盛時
,
久保田 健太
,
北原 淳一郎
,
出田 眞一郎
,
溝渕 知司
1神戸市民病院機構神戸市立西神戸医療センター 麻酔科
キーワード:
カテーテル法
,
吸引術
,
胸部X線診断
,
MRI
,
術前管理
,
腹部X線診断
,
卵巣腫瘍
Keyword:
Suction
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Radiography, Thoracic
,
Ovarian Neoplasms
,
Preoperative Care
,
Radiography, Abdominal
,
Catheterization
pp.319-323
発行日 2020年3月10日
Published Date 2020/3/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2020199083
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症例は38歳女性で、生下時より肺動脈閉鎖、心室中隔欠損を指摘され、2歳時に施行したラステリ型修復術後に心停止を生じ、蘇生後脳症により全介助を要する状態となった。小児科通院中に卵巣腫瘍を指摘されたが、経過観察されていた。その後、卵巣腫瘍は次第に増大し、腹部緊満が高まり低酸素血症を生じるようになったため、卵巣腫瘍摘出術が予定された。MRI所見から粘液性境界悪性腫瘍の可能性が示唆された。ダブルバルーンカテーテルを経皮的に穿刺して腫瘍内容物を吸引し、腹圧を減圧したのち、プロポフォール、レミフェンタニル、ロクロニウムで全身麻酔を導入した。大きな血圧変動はなく、酸素化も術前と同程度に保たれ、安全な麻酔導入が行えた。全身麻酔導入前の中心静脈圧は3cmH2Oであり、術中は3~7cmH2Oを推移し、終了時は3cmH2Oであった。また、術中モニターとしては経食道心エコー検査を施行した。術後再度施行した経食道心エコー検査により、両方向性の短絡を有する径23mmの心房中隔欠損が指摘された。心房中隔欠損についてはアイゼンメンゲル化をきたしており、手術加療は適用外であり薬物治療のうえ経過観察となった。術後は順調に経過し、12日後には療養型病院へ転院となった。また、組織検査の結果、腫瘍は粘液性境界悪性腫瘍であった。
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