投稿論文 短報
肺切除を同時に施行した肝芽腫に対する小児生体肝移植の麻酔経験
石川 美香
1
,
芝 順太郎
,
橘木 浩平
,
竹内 護
1自治医科大学 麻酔科学・集中治療医学講座
キーワード:
肝臓移植
,
肝臓腫瘍
,
全身麻酔
,
肺腫瘍
,
肺切除
,
肝芽腫
,
分離肺換気
Keyword:
Anesthesia, General
,
Hepatoblastoma
,
Liver Neoplasms
,
Lung Neoplasms
,
Liver Transplantation
,
Pneumonectomy
,
One-Lung Ventilation
pp.317-318
発行日 2020年3月10日
Published Date 2020/3/10
DOI https://doi.org/10.18916/J01397.2020199082
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症例は3歳女児で、2歳時に発熱、肝腫大を主訴に緊急入院し、肺の多発転移を伴う肝芽腫と診断された。化学療法により肺転移は消失し腫瘍マーカーが改善したため、3歳で肝右3区域切除術を施行した。術後に胆汁漏、胆管炎を契機に肝機能障害が不可逆的となり、生体肝移植の適用となった。移植の直前に左下葉に2mmの肺転移を疑わせる肺結節が再度出現し、肺部分切除術と生体肝移植術の同時手術を行う方針となった。麻酔導入はチオペンタール、フェンタニル、ロクロニウムで行った。まず4Frのフォガティーカテーテルを気管に挿入し、カフなし気管チューブを用いて経口挿管した。気管チューブ外に留置されたフォガティーカテーテルを透視下に左主気管支へ誘導し、片肺換気が可能なことを確認した。側臥位で胸腔鏡下に胸部手術を開始したが、肺腫瘍の局在を確認できなかったため、第5肋間で小開胸を追加し肺部分切除術を施行した。その後、仰臥位の両肺換気とし生体肝移植を施行した。術後は挿管のままPICUへ入室し、17時間後に抜管し、術後5日目にPICUを退室した。その後も明らかな呼吸器合併症を起こすことなく経過し、術後42日に退院した。
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