投稿論文 経験
新しい専用装具を使用した乳幼児臍ヘルニアの治療経験
寺嶋 咲絵
1
,
風戸 孝夫
,
小野 昌史
,
森 裕晃
1岐阜県立多治見病院 形成外科
キーワード:
臍ヘルニア
,
装具
,
皮膚炎-接触性
,
弾性包帯
Keyword:
Hernia, Umbilical
,
Dermatitis, Contact
,
Braces
,
Compression Bandages
pp.89-94
発行日 2020年1月10日
Published Date 2020/1/10
DOI https://doi.org/10.18916/J00398.2020240137
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乳幼児の臍ヘルニアに対し、本圧迫装具を用いて治療を行い、その有用性について検討した。本圧迫装具は、独自に作成したもので、熱傷後瘢痕の装具などに使用される伸縮性のある素材で作成されたマジックテープ付きの腹帯に、臍に当たる部分に発泡ポリエチレンシートを貼付して隆起させた構造となっている。2012年1月~2016年12月の5年間に、本圧迫療法を施行した乳幼児臍ヘルニア患児124例中11例(男児5例、女児6例)を対象とした。それぞれの症例に対し、圧迫療法開始日時、装具使用開始時、装具終了時における臍サイズの変化、装具での圧迫に切り替えた理由、合併症などを検討した。その結果、圧迫装具への切り替え理由は、接触皮膚炎5例、大きなヘルニア6例で、臍サイズは全例縦横径高さともに縮小傾向であった。圧迫療法開始時日齢は、接触皮膚炎5例並びに大きなヘルニア6例では、それぞれ平均で69.4日と83日、装具開始時の日齢は94.2日と162±93.6日、装具終了時日齢は340.2日と395.5日、装具使用期間は246日と233.5日であった。装具終了時期は、接触皮膚炎5例はヘルニア門の閉鎖時で、大きなヘルニア6例ではヘルニア門の閉鎖時、臍サイズの縮小により綿球とテープ固定の再開が可能となった時、保護者が手術を希望した時であった。接触皮膚炎5例においては、全例皮膚炎が治癒した。合併症は全例で認められなかった。
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