特集 心臓サルコイドーシスの画像診断―病態・臨床からみた考え方―
心臓サルコイドーシスのMRI 存在診断から,病態・治療・予後評価へ
渡邉 絵里
1
,
福島 賢慈
2
,
芹澤 直紀
1
,
坂井 晶子
1
,
長尾 充展
2
,
坂井 修二
2
,
萩原 誠久
1
1東京女子医科大学 循環器内科
2同 画像診断学・核医学講座
キーワード:
心サルコイドーシス
,
心臓MR
,
遅延造影像
Keyword:
心サルコイドーシス
,
心臓MR
,
遅延造影像
pp.921-929
発行日 2017年7月10日
Published Date 2017/7/10
DOI https://doi.org/10.18888/rp.0000000056
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サルコイドーシスは非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を形成する原因不明の全身性疾患であり,日本人では心臓病変が欧米に比べて多く,サルコイドーシスの死因の多くは心病変である。しかし心症状のある患者は5%程度で,心筋生検の感度は20〜30%程度と低く,その原因は病変が心臓内に散在・局在するためと考えられ,従来心臓サルコイドーシスは診断困難な疾患とされてきた1—4)。近年,画像診断の進歩により非侵襲的に診断される機会が増え,2006 年の診断基準改訂時には,“Gadolinium造影MRI における心筋の遅延造影所見”が,心臓病変の副徴候の1 項目となった5)。その後,臨床現場では,心臓MRI 所見を契機に心臓サルコイドーシスの診断に至る症例が多数報告,経験されるようになり,臨床的有用性が認識され,2015 年の診断基準の再改訂時には,同所見は心臓病変の主徴候の1 つとなった6)。また,この間,心臓サルコイドーシスの心臓MRI の特徴的所見や診断精度についての報告が国内外でなされた7—9)。心臓MRI は当初,遅延造影所見を主体にした診断tool として注目されたが,最近では,活動性・病期などの病態評価,治療評価,さらには予後予測にも有用であるという報告が散見される。本稿では心臓MRI の診断,病態・治療評価,予後についての有用性について述べる。
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