特集 消化器外科医に求められる緩和医療の基本と緩和手術
消化器癌oncologic emergencyへの対応(総論)
木村 祐輔
1
,
鴻巣 正史
1
,
中村 聖華
1
1岩手医科大学緩和医療学科
キーワード:
Oncologic emergency
,
消化器癌
,
協働意思決定
Keyword:
Oncologic emergency
,
消化器癌
,
協働意思決定
pp.193-196
発行日 2026年2月15日
Published Date 2026/2/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000004828
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近年,悪性腫瘍に対する治療は,外科的手技の進歩に加え,分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害剤などの新規薬剤の導入により,著しく高度化・複雑化している。これに伴い,治療の安全性を確保しつつ有効性を最大限に引き出すためには,腫瘍そのものに対する治療技術の熟達のみならず,支持療法を含めた包括的全身管理に対する理解が不可欠である。なかでも,治療経過中に急激な全身状態の変化を呈するoncologic emergencyは,治療継続の可否や生命予後に直結するきわめて重要な病態であり,迅速かつ的確な対応が求められる。これらは腫瘍の直接的影響,治療に伴う有害事象,あるいはそれらの複合的要因により発症することが多く,診断・治療のいずれにおいても高い専門性を必要とする。したがって,外科医をはじめ,腫瘍内科医,放射線科医,緩和ケアチームなどの多職種が,oncologic emergencyの病態生理を把握し,初期対応から原因治療,さらには臨床倫理的判断に基づく終末期医療に至るまで,一貫した視点で協働することが重要である。これらの対応は単に救命や延命を目的とするにとどまらず,がん医療の質および患者・家族の尊厳を守るうえでもきわめて重要な役割を担っている。

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