増大号特集 肝臓外科におけるスタンダード肝切除
Ⅱ.各論 1)肝部分切除
大場 範行
1
,
金本 秀行
1
,
高木 哲彦
1
,
徳田 智史
1
,
高橋 龍玄
1
,
藤田 哲嗣
1
1静岡県立総合病院消化器外科
キーワード:
肝部分切除
,
マイクロターゼ
,
開胸肝切除
Keyword:
肝部分切除
,
マイクロターゼ
,
開胸肝切除
pp.1163-1174
発行日 2022年7月15日
Published Date 2022/7/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000002875
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肝部分切除は病変の辺縁に1 cm程度の肝実質をつけて切除する術式である。病変がGlissonに接する場合には,一部は肝実質をほとんどなしに切除せざるを得ないが,このような切除も部分切除であり,皮膜ぎりぎりで腫瘍を切除する核出術とは区別される1)。また,肝臓部分切除は非系統的な切除で,Glisson鞘の3次分枝を系統的に切除する区画切除とも異なる2)。外科医にとってはじめての肝切除は肝部分切除であることが多く,肝部分切除は肝切除の基本である。しかし,肝表面にある転移性肝癌のような容易な症例から,硬変肝で深部や背側にある肝細胞癌など,難度もさまざまである(図1)。切離面の展開が不十分な状況で出血し止血に難渋したり,肝機能不良例で術後予想外の多量な胸腹水貯留で入院期間が延長する場合もある。複数回の肝切除の既往がある症例では癒着が高度で肝十二指腸間膜の確保が困難な場合もある。今回は肝部分切除におけるわれわれの手技の実際や工夫を述べる。
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